新型コロナの死亡率は男性の方が高い?理由は?
新型コロナに感染した場合、男性の方が死亡確率が高いのを御存じでしょうか。
人種は関係なく免疫の老化と性別が関係していると言われる新型コロナの死亡率。感染症の第一人者の研究により既に明らかになっているのです。
新型コロナの死亡率の男女差は50代から現れる
新型コロナの死亡率の男女差は50代から現れます。
以下の表は’20年12月29日の厚生労働省の公表データを新聞社が集計しなおしたものです。薄い色は女性、濃い紫は男性の死亡率です。
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30代は大差がなく、40~50代から男女の死亡率に差が現れているのが判ります。
80代では新型コロナの女性死亡者は10%なのに対し男性は20%なのです。
日本国内の人口全対比で考えると、’20年12月末までに新型コロナで亡くなった男性は1898人、女性は1214人。男女比率にして男性1.6倍、女性は1.2倍です。
英国の研究チームは’20年12月、変異種の出没をうけ1~6月までの症例311万人を分析。新型コロナで死亡する確率は男性の方が1.4倍高い事を突き止めました。
何故でしょうか。
新型コロナは何故重症化してしまうのか
男性の方が新型コロナに罹患すると重症化してしまう理由を説明する前に、新型コロナの重傷化には人間の免疫システムが大きくかかわっている事について説明しなければいけません。
人間の体の免疫は二種類ある
私たちの体の免疫システムは以下の二種類に別れています。
- 自然免疫(生まれながらにして持っている免疫力)
- 獲得免疫(ワクチンもしくは病気になった後に獲得した免疫)
体の中にウィルスが入ると私たちの体は最初に自然免疫が働きます。
自然免疫が体の中でウィルスと戦う過程で、ウィルスに感染した細胞は死んでいきます。
死んだ細胞から遺伝子情報を取り出し特定の病気に特化した免疫を作り出すのが獲得免疫の仕組みです。
人間の体が獲得免疫を作る前に、自己免疫が暴走し体の正常な細胞を攻撃する事があります、これをサイトカインストームと言います。
新型コロナが重症化する理由は獲得免疫が働かないから
新型コロナが重症化するか、そうでないかは獲得免疫を得られるかにかかっています。
新型コロナの場合ウィルスが肺に入ると肺胞が炎症をおこします。感染した細胞が死ぬ事で死んだ細胞が膿となり肺に溜まり肺炎をおこします。
この後体の細胞が獲得免疫を作れば、回復に向かいますが、血管内に血栓が出来ると重症化する事が大阪大学の研究チームの発表で明らかになりました。
新型コロナで男性が重症化しやすい理由
- 男性はサイトカインの量が女性よりも多い
- 獲得免疫は女性の方が新型コロナ罹患後、活発になる
- 高齢男性はサイトカインストームが起きやすく、獲得免疫は弱くなる
- 免疫応対の違いは性別を決定する染色体の本数の違いにある
新型コロナに罹患した直後、私たちの体が自然免疫が働き、サイトカインとよばれる白血球ら放出されるタンパク質がウィルスと戦います。
サイトカイン『のみ』に頼った結果、男性はサイトカインストームが起こりやすいという結論に達してしまうのです。
自然免疫が獲得免疫に切り替わるタイミングが女性の方が早いという説は一概には言えませんが、性別を決める染色体Xの数と免疫応対とは深く関係していると言われます。
男性の染色体Xは1つですが女性は2つです。ということは免疫の切り替えの為に女性は2つの染色体を使えるという事になります。
ではこの原理、新型コロナ以外の過去にも流行した呼吸器系伝染病にも当てはまるのでしょうか。
SARS、MERSにも当てはまる男性死亡率
新型コロナだけでなくSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東急性呼吸器症候群)にもこの症例、一部はあてはまると言われています。
SARSでは男性の方が1.7倍、女性より死亡率が高く、MERSでは女性の死亡率は2割だったのに対し男性は半数以上の患者が亡くなりました。
台湾が新型コロナの封じ込め対策で成功しているのはSARS、MERSのデータを詳しく把握しているからと言われています。
度重なる緊急事態宣言でロックアウトされてしまう日本ですが、各国の対策に比べれば日本は甘いのではないでしょうか。
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