新型コロナでも百日咳でもない?肺NTM症って何?長引く咳は要注意
結核とよく似た抗酸菌が原因の疾患、呼吸器系感染症に肺NTM(非結核性抗酸菌)が増えています。
新型コロナのパンデミックで患者数増加が見逃されていましたが、リーマンショック以降、日本での患者数は増加。新型コロナが五類に移行した現在、患者数が増えるのではと見られてます。
今回は肺NTM症の症状、原因、予防法について詳しく解説させて頂きます。
肺NTM症は、結核、らい病を除いた抗酸菌症
肺NTM症は、結核、らい病を除いた抗酸菌症です。抗酸菌は100~200種類あると言われる弱毒性の菌で、水回り、土壌に普通に存在しています。菌を吸い込むことで感染が起こりますが、免疫力があれば発症することはありません。
NTMの特徴は以下の通りです。
- 初期症状は風邪と間違われる(長引く咳、倦怠感)
- 健康診断で判明する人もいれば、血痰が出て判明する患者も居る
- 二昔前は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、じん肺、関節性肺炎患者の男性が多かった
- 平成末期~令和は、やせ型の女性患者が多い
- 7割は肺MAC(MAC(Mycobacterium-avium complex)症と呼ばれ難治症のものになる
- 人から人に感染しない
感染したとしても数年かけて風邪や百日咳とよく似た初期症状が出るので、原因究明が難しくなります。また肺MACは一旦自己免疫力で治ったかに見えても、再発する可能性があるのです。
では肺NTM症の具体的な治療法はあるのでしょうか。
肺NTM症の治療は抗生物質
肺NTM症の治療を受ける目安として挙げられるのは、1か月以上咳が続くがどうかです、痰が絡まない咳なら百日咳ですし、痰か絡むのであればその他の病気になります。この場合は呼吸器内科を受診しましょう。
他の呼吸器疾患と、肺NTM症の違いを区別するため、病院では喀痰検査を3回行います。検査で2回NTM菌(抗酸菌)が検出されれば、治療方針及び、処方箋が決まります。
肺NTM症でも大半を占める肺MAC症はマクロライド系抗生物質の他に2種類の投薬が必要になり、治療は数年に及びます。
新型コロナの時に何故肺NTMも減ったのか
新型コロナ2類の時になぜ肺NTMの患者も一時ですが減ったのでしょうか。毎年5000人が罹患すると言われているこの病。実は呼吸器疾患を防ぐ、うがい、手洗い、マスクがカギなのです。
肺NTMの原因は、意外にもお風呂の翌日追い炊きや、ガーデニング、埃の多い所での作業、熱帯魚飼育などが挙げられます。マスクと手洗い消毒が当たり前だった2類の頃は、肺NTMの原因になる埃も防げたはずなのです。
新型コロナが5類になったことで、今まで息をひそめていた他の呼吸器系疾患が流行るのは止められないということでしょう。