7種類以上の薬を服用する高齢者が3割以上!意外すぎな盲点とは?
75歳以上の後期高齢者の3割が高血圧や糖尿病などの生活習慣病で7種類以上のお薬を処方されている事が厚生労働省の統計で判明しました。
複数のお薬を処方される65歳以上の方は国民の半数近くになりますが多剤服用には意外な盲点があるのです。
多剤服用が起こる原因
患者さんが1種類の症状に対し3種類以上の薬を処方される事を多剤服用と言います。多剤服用が生じる原因は以下の通りです。
- 明確なかかりつけ医がいない
- 症状別に医師を変えている
- 患者さんがお薬手帳を持ち歩かない
- 医師が専門外の薬に対して疎い
医師としては患者さんに『この症状はこの医者が評判がいいから』と口コミ頼りに症状別に受診先を変えられると困るのです。
何故でしょうか。
『併用禁止薬』はカルテで管理している
医師は診療時に電子カルテで薬の処方を管理しています。
その際、過去に処方した薬や現在処方した薬と照らし合わせる事が出来るので、併用注意の組み合わせに関してはカルテの画面にアラートが出る様になっています。
もし患者が症状別に複数の医療機関を受診すると、電子カルテやお薬手帳もバラバラに作成される事になり、どの医師も飲み合わせ注意の薬について把握できなくなります。
肩こりの湿布を貼ったら血圧が下がらない不思議な理由
かかりつけ医の多くは内科医が多く、患者が専門外の医療機関で処方されていた薬に関しては判らない事が多いのが現状です。
例えば降圧剤の1つ、ACE阻害薬を処方されている患者さんが、肩こりや腰痛で悩んでいて普段からロキソニンなどの湿布を貼っていたとします。
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ロキソニンの主成分であるロキソプロフェンは降圧剤の作用を弱めるので、血圧がいつまでやっても下がらないのです。
他にも糖尿病治療薬(SU薬)と併用すると血糖降下作用が増強しすぎて低血糖となり意識を失う危険性もあるのです。
多剤服用のリスクを避けるには
高齢者は薬を代謝し排泄する機能が30代の半分になります。原因は肝臓や腎臓の機能低下です。多剤服用は飲み合わせによるリスクを伴うと同時に薬の効きすぎをコントロールできなくなるのです。
医者にかかる場合、まず以下の2つの事について心がければ多剤服用のリスクは防げます。
- 内科のかかりつけ医をもち、それ以外は皮膚科、眼科、歯科などにする
- お薬手帳は1つに絞る
お薬手帳は古すぎるものは捨て、新しいもの1冊だけを残すようにしましょう。