トロトラスト造影剤・日本初の薬害は何故放置された

1930年~40年代まで使われていたトロトラスト造影剤を御存じでしょうか。注射された人は内部被ばくし、数か月後に亡くなる放射能造影剤です。日本初の薬害は何故令和現在まで被害全貌が隠されていたのでしょうか。

トロトラストは何故造影剤に使われた

トロトラストは二酸化トリウム(酸化トリウム)を主成分とするX線血管造影剤でした。

戦前造影剤は原子番号が多いほど造影効果が良いと言われ、’20年代に造影剤として使われていたヨード(原子番号53)の代わりにトロトラスト(原子番号90)がドイツから輸入されました。

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当時の先進国で広まったトロトラストでしたが、米国は’30年代の『ラジウムガールズ事件』の内部被ばく騒動があり、トロトラストの承認に至りませんでした。

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米国で承認されていなかった造影剤。ラジウム以上の恐ろしさとされています。日本では健康被害を出しながら’40年代まで使われ続けていたのは何故でしょうか。









体外排出不可能な放射能物質だった

トロトラストの恐ろしさは、体外排出ほぼ不可能と呼ばれていることです。

血液内に留まるというより臓器に付着。半永久的にアルファ線を放射し続け、付着した臓器が癌になり造影剤を注射された患者が苦しんで死んでいきます。

’32年の満州医科大では、18~66歳の学生、鉄道員など9人の男性が被検体に。’34年には癲癇患者の思春期の女性。’40年には健康な生まれたばかりの子供が造影剤の実験台になっていたことが発覚したのです。

旧厚生省は旧陸軍病院で傷痍軍人246人に使用したことに対しては認め、’77年以降に恩給支援をしています。しかしあぶれてしまった民間人の薬害に対しては認めていないのです。

造影剤なしで精度のあがるCT開発を

トロトラストの様に、用途も判らず患者を実験台に使う薬害はあってはなりません。トロトラストが必要とされた背景にあるのは、造影効果を求める機械でした。今日まだまだ検査で私たちは造影剤を注射しなければいけないこともあります。

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検査の際に造影剤を必要としないCT、MRIの開発、内部被ばくのない機器の開発こそが、これら薬害被害の解決につながるのではないでしょうか。