RSウイルス感染症の予防接種『シナジス』とは?
RSウイルス感染症は、毎年秋から翌年の春まで流行しているという風邪に似た症状のある病気です。
この病気は乳児からお年寄りまで小さいころから繰り返し繰り返し感染する病気なのですが、ほとんどの方はこの病気だと診断された記憶が無いはずです。
というのも、健康な大人の場合はあまり症状が重くならない事が多いためです。
ところが、重症化しやすい初感染の乳幼児と気管支などに持病を持っている、お年寄りは毎年気をつけなくてはならない病気なのです。
RSウイルスが重症化しやすいのは?
なぜ初感染の乳幼児と気管支などに持病を持つお年寄りが重症化しやすいのかというと、免疫力が低下した状態であったり出産の時に早産だったりした場合、喘息や肺炎などになりやすく致死率も上がっていくと言われているからです。
例えば、高齢者の場合は免疫力も抵抗力も低下していきますので、症状が悪化してしまいやすくなるというわけです。
この時、激しい喘息のような症状が出たり、肺炎になってしまったりする事があるため、命にかかわる患者も増えていくというわけなのです。
特に早産で生まれてきた赤ちゃんの場合、初めて感染した時に重症化しやすいと言われていて、致死率が高くなるので感染しても重症化しにくくなるための、「シナジス」という筋肉注射を定期的に接種して予防をする事ができるのです。
ちなみにこの予防接種を『シナジス』という名前で呼ぶ事がありますが、パリビズマブという名前の注射の別名です。
シナジスとはどんなものなの?
シナジスというのは、抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体の遺伝子組み換えをしたもので、いわゆる予防接種と言われるワクチンとは違うものです。
なぜか予防接種という言い方をしますが、シナジスは筋肉注射をする事によって、重症化するのを防ぐ働きがあるお薬なので感染を防げるというものではないからです。
感染の予防をできるというものではないので、シナジスを筋肉注射したとしても感染を予防する事はできないのだという事を認識しましょう。
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シナジスの筋肉注射ができる人は決まっている
一般的な予防接種であれば、希望者は誰でも注射する事が可能ですが、シナジスは誰でも簡単に受けられる注射ではありません。
その理由は、保険適応となるのが国が定めた規定内に入る人以外は、かなり高い費用を実費で払わないといけないからですね。
保険が適応となる人は以下のとおりです。
- 在胎期間28週行かの早産で12ヶ月以下の新生児や乳幼児である
- 在胎期間29週~35週の早産で6ヶ月以下の乳児である
- 過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24ヶ月以下の乳幼児
- 6ヶ月以内に外科治療、カテーテル検査などの予定がある乳幼児
- 生まれつき呼吸器系の器質的または機能的な異常がある乳幼児
- ダウン症などの染色体または遺伝子異常のある乳幼児
- 心臓の病気の治療をしている乳幼児
- 多呼吸・肝臓の腫れなどがあると診断された乳幼児
上記を見ていただけばわかるように、誰もが安く受ける事ができる注射ではないという事がわかっていただけたのではないでしょうか。
でもどうしても心臓に負担がかかってしまったら困るという場合などには、医師に相談をしてみてはいかがでしょうか。
あらかじめ入院する程病状が悪化してしまうかもしれないという人は、医師に相談をして重症化を防ぐために注射をお願いしてもいいかもしれません。
ただしその際には保険が適応とならないようですので、かなりの金額がかかる(8万円~32万円)事を認識しておくといいでしょう。
シナジスはどのくらいの費用がかかるのか?
シナジスを注射する時には、1回につき15mlを目安に1ヶ月に1回最長で半年間注射をしなくてはなりません。
この時、体重によって注射する量が変わってくるので、金額の方もかなり高額になってしまう事は間違いないでしょう(保険適応の場合は別)。
現在シナジスにかかる費用ですが、8万円~32万円程度の費用がかかるのだそうですので、実費で受ける場合にはよく相談をしてから決定するといいですね。
RSウイルス感染症は普段の習慣で予防をするのが一番
感染してしまうと高い費用がかかってしまう事がわかりましたが、予防をする方法はいくつもあるものです。
例えば外から戻ってきたらうがいや手洗いを徹底するという事、手を洗う時には必ず石鹸を使い流水でキレイに洗い流す事。
免疫力を高めるために好き嫌いをせず、何でも食べるようにして免疫力を高めておくなども必要です。
食生活の改善はもちろんですが、睡眠不足も免疫力を下げる原因となるので、早寝早起きを心がければ病気も逃げていくはずです。