在宅透析・高いハードルが故に利用者0.2%の現状

腎臓の機能が落ちると腎臓移植か透析が選択を迫られます。

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大半の患者さんが受けている血液透析は病院で行われるものですが、
何故在宅透析が普及しないのでしょうか。

何故病院で透析を受けた後は体がだるい?

何故腎臓病の患者さんは病院で透析を受けた後は体がだるいのでしょうか。
それは以下の理由が挙げられます。

  • 病院では生命を維持する最低限の治療しかやらない
  • 1回で血中から2~3日分の老廃物を短時間で取り除す
  • 透析を受けない日は体が浮腫み高血圧や心臓への負担が増す
  • 透析前と透析後では血圧が乱高下する事もある

この様な問題を防ぐ為、注目されているのが在宅透析です。
在宅透析にはどの様な種類があるのでしょうか。









在宅透析は血液透析と腹膜透析の2種類

在宅透析は患者と介護者がトレーニングを受けてするものですが、
血液透析と腹膜透析の2種類があります。

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腹膜透析は、全国に9000人ほど利用者が居て、お腹の中に人工的に尿を作って排出するものです。お腹の中にカテーテルを埋め込み、カテーテルから1.5~2リットルの透析液を入れます。
透析液を3~8時間体の中に入れておくことで、液の中に体の老廃物を浸透させ、1日に2~4回透析液を交換する透析法です。寝ている間に透析液を交換する自動腹膜透析(APD)と、従来の方式で行う連続携行式腹膜透析(CAPD)があります。

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体の中の毒素を穏やかに取り除く事が出来るので体への負担は少ないのですが、腎臓機能がまだ残っている患者さんしか使えない療法なのと、医療機関の説明不足もあり腎疾患患者の3%にしか普及していません。

では在宅血液透析はどうなっているのでしょうか。

在宅血液透析は誰もができるのではない?

患者本人や介助者となる同居もしくは近所にすむ家族や親族の同意や
強い思いだけでは在宅血液透析が出来ない理由は以下の通りになります。

  • 事前にトレーニング期間の通院が週三回必要であること
  • かかりつけ医院から片道30分~1時間以内の所に患者が住んでいる事
  • 血液感染の持病(HIV、B型C型肝炎、梅毒)がない事
  • 患者さん自身が見つけられるバスキュラーアクセスがある事
  • 自己穿刺ができる事
  • 患者さんの年齢は18~60前後が望ましい
  • 月1~2回は容態チェックの為、担当医師の元に通う事
  • 介助者だけでなく周りの親族も了解している事
  • 自宅設備を整えられること

最低限これらの事柄は在宅透析を行うにあたり求められます。
その為、患者自身、介助者、患者の親戚がきちんと体調管理や透析スケジュールを管理してくれる人でないと在宅透析は難しいという事になります。

欧米のデーターでは在宅血液透析を週6回、一日2時間行った人は、病因での血液透析より寿命が延びたという結果が出ています。

その一方で日本では、これらの条件の他にも在宅血液透析に切り替えにくい理由がいくつもあるのです。
何故でしょうか。

医療費だけでなく水道代、病院施設のハードルも

在宅血液透析の医療費は通常とほぼ変わらないですが、透析につかう電気代や水道代は自己負担となり、お住まいの自治体に左右されます。

また水道管の設備によっては透析用機材を家に持ち込んだ後、
給水・配水工事をやり直さなければいけない地域もあるのです。

医療機関側が在宅透析を勧めていない所もあります。
在宅透析を行うと、緊急時の為に,クリニックは24時間連絡体制が必要となります。

透析ベットを並べて透析専門クリニックで儲けるビジネスが成り立つ日本。
在宅血液透析の患者比率が僅か0.2%というのは病院ビジネスが背景にあるのかもしれません。