C型肝炎とは?100人に1人の国民病?生活は節制するのが一番?
C型肝炎は慢性肝炎の7割を占め、無症状患者を含めると日本に200万人います。
新型コロナに様に空気感染すると勘違いされている人も多いですが、血液感染なので、患者のハグでは感染しません。
治療後も、医師の生活・健康指導を守らないと再発する危険性があり、
肝臓がんになる確率も高いことから、100人に1人の国民病と呼ばれています。
令和シングルの時代、60代以上の人にとって肝炎は『注射器使いまわしの予防接種』や
母子感染の犠牲者と言われていましたが、C型肝炎はそれだけが原因ではありません。
今回はC型肝炎の原因と対策について、詳しく解説したいと思います。
C型肝炎の原因、潜伏期間
C型肝炎の原因はC型肝炎ウィルス(HCV)です。
HCVウィルスは主に以下の経路で感染します。
- 注射器の使いまわし
- 長期にわたる透析
- 他人の歯ブラシ、電気シェーバー、カミソリ
- 感染している人との性交渉(アナルセックスなど)
- 入れ墨、ピアス
- 不活性化されていない血液製剤、血液凝固因子製剤
血液感染なので、予防接種や輸血で感染した人が肝炎になる定説がありました。
現在は電気シェーバーや、性交渉、麻薬の注射器が原因と言われています。
C型肝炎が母子感染する例は稀ですが、出産や手術の際の大量出血で使うフィリビノゲン製剤によりC型肝炎に罹ると言われていたのです。
潜伏期間は2週間~半年。肝臓は知らない間に症状が進んでいるため、
最近調子が悪いので健康診断をうけて初めて気が付く人が多い病気です。
C型肝炎(HCV)の種類
C型肝炎は1型から6型まであり、日本人の殆どは1と2型で、それ以降は稀です。
それぞれの数字は遺伝子ジェノタイプ(ゲノタイプ)で分類され、肝炎のゲノタイム検査はオプションになります。
日本人のHCV患者の7割は1b型。残りの3割はゲノタイプ2型で、2/3が2a型、約1/3が2b型です。抗ウィルス剤もしくはインターフェロンとの併用の治療です。
1a型、3~6型は稀で、具体的かつ画期的な治療法が見つかりにくいのが現状です。
インターフェロンは、効果がないと言われた理由
’92年からC型肝炎の治療でインターフェロンの治療が行われるようになりました。
しかし、1b型が7割を占める日本人に効果は1~2割しか発揮しないことや、うつ病や間質性肺炎など重篤な副作用が問題視されていました。
生活習慣病を持っている人は投与できない、お薬がでた当初は保険対象でないことも問題視されていたのです。
’01年リバビリン(リバビリン(コペガス®,レベトール®)と併用や、’04年にペグインターフェロンが出たことで、薬効が変化したとはいえ、肝炎=入院、通院は拒めなかったのです。
C型肝炎の抗ウィルス剤
C型肝炎の抗ウィルス剤は以下の通りです。
耐性菌が出ても臓器に負担をかけず、副作用が少ない薬剤を製薬会社は開発中です。
抗ウィルス剤は1日1回、24週~12週の治療が原則になります。
- ダクラタスビル(ダクルインザ)・アスナプレビル(スンベプラ)
- レジパスビル/ソホスブビル(ハーボニー)
- エレルサ/グラジナ(エルバスビル/グラゾプレビル)
- マヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル配合剤)
エレルサ/グラジナは慢性腎不全の患者さんに、医師の指導があれば服用許可が下りることで知られ、マヴィレット配合錠は、耐性菌が出た場合の抗ウィルス剤として知られています。
抗ウィルス剤治療は助成金が出る?
抗ウィルス剤は以下の条件で、C型肝炎は国もしくは自治体からの助成が出ます。
- 肝がんを合併していない
- ジェノタイプ1型
- 原則1回の助成
- 患者負担は月1~2万(ハーボニーの場合は薬剤費は実費670万)
ただし抗ウィルス剤や、民間療法(免疫療法)でC型肝炎は『完治』するとはいえません。薬剤耐性がついてしまった肝臓の場合は、これ以上悪くならないように肝臓を保護しなければいけなくなります。
これを肝庇護療法といいますが、グリチルリチン製剤、ウルソデオキシコール酸、小柴胡湯(しょうさいことう)などが使われます。
C型肝炎の食生活、運動
C型肝炎の食生活は、ヘム鉄を含むものは避けるべきです。
肝臓に良いと言われている、レバー、牡蠣、貝類はNGになります。
鉄も二種類あり体に吸収されにくいが、他の栄養素は含む非ヘム鉄があります。
大豆、ひじき、納豆、ほうれんそう、卵、大豆製品、小豆に含まれているものです。
ただし非ヘム鉄はビタミンCと共に取るとヘム鉄同様に体に吸収されてしまうので、
果物を取る時は、時間をあけるようにした方がいいです。
お米は玄米や炊き込みご飯がお勧めです。
飲酒、タバコ、夜更かしも厳禁。
肝炎は脂肪肝になってしまうので、ウォーキングなど適度な運動はお勧めですが、
心拍数が大幅にあがるランニングなどの運動は勧められません。
焼け野はらは元に戻らないを教訓に
抗ウィルス剤を使い、C型肝炎ウイルスが排除された状態(SVR)は完治ではなく寛解(かんかい)です。
ガンと同じで、生活習慣の乱れや仕事により、いつ何時悪化するかもしれないという意味です。
薬を使い、無理やり免疫力を向上させウィルスを排除するのがインターフェロン。
抗ウィルス剤は、臓器に負担をかけてでもウィルスを殺している状態です。
医療業界に『焼け野はらは、元に戻らない』という言葉があります。
一度痛んだ臓器は完全に元には戻りません。沈黙の臓器と言われる肝臓、腎臓であればなおさらです。
寛解後も定期的に健診を受け、再発防止につとめましょう。