妊婦向けRSウィルスワクチン承認・どう変わる?
妊婦向けRSウィルス(RSV)ワクチンが、’23年11月27日製造承認されました。
新生児、乳児の肺炎重症化を防ぐこと目的です。高齢者向けRSウィルスワクチンは同年9月に承認され、今後は定期接種にむけて議論が進みます。
RSウィルス感染症って?
RSウィルスは手洗い、アルコール消毒、熱湯消毒で不活性化するウィルスです。新型コロナデルタ株が猛威を振るった’20年に手足口病が前年の100分の1になった話がありました。個人が徹底した消毒を心がけたからで、この時にRSウィルス感染者も激減しました。
しかし一旦飛まつ感染すると、猛威を振るうのがRSウィルス。生後1か月の赤ちゃんも気管支炎による呼吸困難で突然死もあるのです。
RSウィルス感染症は以下の特徴があります。
- 軽症だと数日で症状が収まってしまう
- 初期症状は喉風邪や頭痛、鼻水からはじまる
- インフルエンザや新型コロナ、風邪と区別がつきにくい
- 免疫が弱まっている時に罹患すると重症化する
- 生活習慣病、臓器疾患に罹患していると悪化しやすい
- 2歳までの子供が罹患し、高齢者もかかる
RSウィルス性肺炎は、細菌性肺炎を併発する恐れがあり肺炎そのものを重症化させます。その為ワクチン開発は長年待ち望まれていました。
RSVワクチン第一号はファイザー
RSVワクチン第一号は米ファイザーです。’23年2月に販売申請が出され、米国では8月に承認されていました。妊娠24週~36週に接種するのが望ましいとされています。
治験の段階では重症化を未然に防ぐ効果は、生後3か月以内の赤ちゃんで8割強、6か月で7割弱でした。妊婦さんの副反応は接種した部分の痛み、頭痛ですが、安心できる要素ばかりではありません。
生まれた赤ちゃんの一部に低出生体重や黄疸があったのです。
シナジスはワクチンではない?
RSウィルスワクチンが開発されるまでは、流行シーズンにシナジス(アストラゼネカ)を毎月接種しなければいけませんでした。シナジスはワクチンではなく抗体成分なので1か月しか効力がないのです。
一部の病気の患者さんしか保険適応されないのも接種のネックになっていました。
そんな中、ワクチンが開発されたのですが、定期接種が定着するには後数年かかるという見込みです。