隠れ心不全とは?冬と高齢者に激増!生活習慣病が引き金に
症状が出ない『隠れ心不全』の患者さんが’00年代から増加しています。
心不全の症状と言えば息切れ、動悸で心筋梗塞、狭心症、心臓弁膜症など心臓血管系の持病をお持ちの方が多いというイメージがあります。
ところが近年、慢性心不全=隠れ心不全の患者さんの数が増加しているのです。何故でしょうか。
不整脈、高血圧、糖尿病などが引き金に
隠れ心不全の引き金となるのは生活習慣病や持病で不整脈、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病をお持ちの方は注意しなければいけません。
日本心不全学会によると心不全は進行具合によりガンと同じ様にステージA~Dにランク分けされていると言います。以下の表は米国心臓学会(AHA)を参考に日本心不全学会が作った表です。
©kazama-naika.com
表によると『隠れ心不全』はステージAとBに該当する事が明らかになります。
心不全に限らず心臓の病気を見分ける検査といえば心電図や胸部X線を思い浮かべる方も多いかと思いますが隠れ心不全は、心電図やX線では症状が判りません。
では何を目安に隠れ心不全を見つけ対処すれば良いのでしょうか。
BNP検査が隠れ心不全発見の手がかりに
隠れ心不全発見の手がかりとなるのは、BNP(脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド)』検査です。BNPの値が40~100までが隠れ心不全の値と言われています。
©asabu-heart.com
BNPは元々脳で発見されたホルモンですが、血管を拡張し、尿の排出を促す作用を持っていることから転じ心臓へのストレスを和らげる生理作用を持っています。
値が上昇すると心臓に負担がかかっている事を間接的に意味しているのです。上皇后 美智子様が散策中の息切れの検査のため血液中のBNP値を測定したところ上昇していた事から心臓弁膜症が見つかった事は記憶に新しいことです。
では隠れ心不全を自分でチェックする方法はあるのでしょうか。
隠れ心不全のセルフチェック方法
心不全の専門は循環器系内科になります。医師に相談する前に日常生活の中で以下の項目に3つ以上該当する事があれば、医師に相談する事をお勧めします。
- 血圧が高い
- 血糖値が高い
- 腎臓が悪い
- 心臓が弱い
- 肺が弱い
- 食生活、生活習慣が乱れている
- 階段を嫌いついエスカレーターやエレベーターに頼りがち
- むくみが酷い
- 夜になると咳こむ
- 寝苦しくなって目が覚める
- 起きている方が楽、いびきが酷い
1人では気づきにくい事も多いので、家族の方、職場の同僚の方に聞いてみるのも1つの案です。
隠れ心不全についてまとめ
新型コロナ感染拡大後、心臓病患者の救急外来の受け入れ窓口が狭くなり、動悸息切れなど確実に心不全の症状が出ている患者さんでさえ受診を控えるようになりました。
その結果、慢性心不全=隠れ心不全の患者さんが増え、’20年には年間35万人のペースで隠れ心不全の患者さんが増えていると言います。
だからこそ生活習慣病を持っている方や、生活習慣が乱れ予備軍となる方は、隠れ心不全の対策を今のうちにとらなくてはいけないのです。